パンの耳食べる方の裏方。

物書きの端くれの遊び場です。ゆるりとお付き合いください。

ひょんな事から、友人を有名にしてみた(0話)

「とりあえず、俺を有名にしてくれ!」 先週の土曜日だったでしょうか、失礼にも夜中にかけてきた友人が私の 「ちょっとさすがに深夜2時に電話は」 という声を遮って言い放った一言です。 「twitterのフォロワーを増やしたいねん。」 私が説明を求める前に東…

ゴゴ

「退屈よ。私にとってはクリスマスも正月も、自分の誕生日だって退屈だもの。」 夜空を見上げる彼女は、「退屈そうだね。」という僕の言葉に、機械的に答えた。僕にはベランダで空のある一点をじっと見つめている彼女の沈黙として現れた絶対的主張が、僕を試…

インパルス

寺町通を四条河原町から抜け、かに道楽を右に曲がる。三条通の交差点をこれまた右に曲がりしばらく歩いたところにあるのがインパルスという喫茶店である。 入り口を正面に縦長に伸びた喫茶店で、手前がカウンター、奥が座席という形になっているが、手前のカ…

ニット

『ウィンナーコーヒーなんてコーヒーあるわけないじゃない。だってコーヒーにウインナーが入ってるわけないもの。』 聳え立つビル群に遮られる空を見上げ、どこか窮屈さを覚えた。どこまでも自由で、どこまでも高いはずの空が、いつの間にか僕にはどこか限定…

六曜社

寺町通から、三条通りを鴨川の方へと抜ける。 連日の猛暑は、各地の記録を続々と塗り替え、あまりにも簡単に記録的という言葉がテレビの向こうから聞こえてくるものだからそのうちに、彼は体にべったりと執拗にこびりつく熱気にも関心を示さなくなってしまっ…